468 :本当にあった怖い名無し:03/07/02 02:04
とんとん拍子だった。運が良かった。
私は電話の用件などを忘れないように録音するようにしている。
再度電話を再生しながら、必要事項をメモっていく。
住みこみなので、持っていくものの中に保険証なども必要とのことだったので、それもメモする。
その宿の求人のページを見ると、白黒で宿の写真が写っていた。
こじんまりとしているが、自然にかこまれた良さそうな場所だ。
私は急にバイトが決まり、しかも行きたかった場所だということもあってホっとした。
しかし何かおかしい。
私は鼻歌を歌いながらカップメンを作った。何か鼻歌もおかしく感じる。
日はいつのまにかとっぷりと暮れ、あけっぱなしの窓から湿気の多い生温かい風が入ってくる。
私はカップメンをすすりながら、なにがおかしいのか気付いた。
条件は良く、お金を稼ぎながら旅行も味わえる。女の子もいるようだ。
旅館なら出会いもあるかもしれない。だが、何かおかしい。
暗闇に窓のガラスが鏡になっている。その暗い窓に私の顔が映っていた。
なぜかまったく嬉しくなかった。
理由はわからないが、私は激しく落ちこんでいた。
窓に映った年をとったかのような生気のない自分の顔を見つめつづけた。
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