と、脱衣所の襖を開けながら声をかけられた。
寝袋をまた争奪する戦いを避けたい俺は、
「いや、昼間入ったから大丈夫、お湯抜いて下さい。」と返事をした。
もちろん、言い訳ではなかった。
従姉とはいえ女性に会うのは久々だったので、昼間のうちにシャワーを浴びていたのだ。
昼間の俺に「グッショブ」と親指を立て、資料に目を通す(ふりをする)俺。
しかし、血気盛んな年頃の俺。
つまり、真面目な大学生の俺と、色に狂いそうになるDTな俺が、頭の中でせめぎあう。
お湯が抜ける音を聞きながら、
「ああ、俺の馬鹿野郎・・・、女体の浸かったお湯を一口飲んでから捨ててもらえば良かった・・」
と激しく激しく後悔するもすでに遅し。
改めてこの時、この生殺し状態に一週間も耐えなければならないのかと、恐怖におののいた。
参考書やら資料やらに必死に食らいつくが、全く内容が頭に入ってこない。
パジャマ姿のイト子が、寝袋で横になる俺の背中側を通る。
良い香りが放たれたように俺の鼻に飛び込んでくる。
苦しい。
「お茶でも煎れようか?」
とイト子が声をかけてくれた。
「あ、うん、ありがとう。」
振り向いて見上げると、解かれた髪はめちゃ綺麗。
だぶだぶの上だけパジャマに素足で、肩からバスタオルを上に羽織るようにかけているだけ。
多分、もうちょっと近かったらパンツが見えていたはず。
「!!!!!!!!!!」
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