
276 :270続き:02/08/21 23:17
中学校に上がって受験生になった私は、毎日決まって自分の部屋で勉強するようになりました。
姉は県外の高校に進学し、寮で生活して、家に帰ってくることは滅多にありませんでした。
ある夜、遅くまで机に向かっていると、扉の方からノックとは違う何かの音が聞こえました。
カン、カン
かなり微かな音です。金属っぽい音。
それが何なのか思い出した私は、全身にどっと冷や汗が吹き出ました。
これはアレだ。小さい頃に母が風邪をひいて、私が代わって消灯をした時の・・・
カン、カン
また鳴りました。扉の向こうから、さっきと全く同じ金属音。
私はいよいよ怖くなり、妹の部屋の壁を叩いて「ちょっと、起きて!」と叫びました。
しかし、妹はもう寝てしまっているのか、何の反応もありません。母は最近ずっと早寝している。
とすれば、家の中でこの音に気付いているのは私だけ・・・。
独りだけ取り残されたような気分になりました。
そしてもう1度あの音が。
カン、カン
私はついに、その音がどこで鳴っているのか分かってしまいました。
そっと部屋の扉を開けました。真っ暗な短い廊下の向こう側にある居間。
そこはカーテンから漏れる青白い外の光でぼんやりと照らし出されていた。
次のページへ続く
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
