422 :かおる :02/02/07 00:56
S子が私の手をぐいぐい引っ張って外に連れ出そうとします。
私はそれでもまだ、形だけでもおばさんにおいとまを言っておくべきだと思っていました。
顔を合わせる勇気はありませんでしたが、奥に声をかけようとしたのです。
F美の部屋の向こうにあるふすまが、20センチほど開いていました。
「すいません失礼します」
よく声が出たものです。
その時、隙間から手が伸びてきて、ピシャッ!と勢いよくふすまが閉じられました。
私たちは逃げるようにF美の家を出て行きました。
帰り道、私たちは夢中で自転車をこぎ続けました。
S子が終始私の前を走り、1メートルでも遠くへ行きたいとでも言うかのように、
何も喋らないまま、自分たちのいつもの帰り道まで戻っていきました。
やっと安心できると思える場所に着くと、私たちは飲み物を買って、一心不乱にのどの渇きをいやしました。
「もう付き合うのはやめろ」とS子が言いました。
それは言われるまでもないことでした。
「あの家、やばい。F美もやばい。でもおばさんがおかしい。あれは完全に・・・」
「おばさん?」
トイレに行った時のことをS子は話しました。
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