
洗面所で手を洗いながら、何気なく鏡を覗きました。
廊下の途中の仕切が開いていて、その向こうの暗闇に、あの納戸がうっすらと見えていました。
その時、おやっと思いました。
トイレに来る時には、その仕切を閉めた覚えがあったのです。
振り返ってみると、やっぱり仕切は閉じています。
しかし、もう一度鏡を見ると仕切は開いていて、納戸の白い扉が闇に浮かび上がるように見えています。
全身が総毛立ちました。
すると、その扉が少し動いたような気がしました。
その瞬間、私はナナちゃんの事を思い出しました。
とっさに『ヤバイッ』と思いましたが、鏡から目を離すことは出来ませんでした。
やっぱり扉は動いています。
もう一度振り返っても、廊下の仕切は閉じたままです。
鏡の中では、納戸の扉がもう半分以上開いていました。
開いた扉の向こう、納戸の奥の闇に白いモノが浮かんでいました。
これまでにない恐怖を感じながらも、わたしはその白いモノを凝視しました。
それは懐かしい少女の笑顔でした。
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