親父は慌てて祖父を助けようとしたが、足場の悪さと、立ちこめる煙と灰が邪魔をする。
親父は、火傷を負いながらも、祖父を救うべく釜の上に足をかけた。
釜の中は地獄の業火のように真っ赤だった。火はとっくに釜の中まで回っていたのだ。
悪戦苦闘の末、ようやく祖父の体を引きずり出した頃には、
顔や胸のあたりまでがグチャグチャに焼けただれて、すでに息は無かった。
が、すぐに気を取り直し、下山することにした。
しかし、祖父の死体を背負って、急な山道を下るのは不可能に思えた。
親父は一人、小一時間ほどかけて、祖父の軽トラックが止めてある道端まで山を下った。
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