88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/17(土) 05:33:53.29 ID:3i0AcC2d0
確かに人の声がする。
ノックしながら、俺を何度も呼んでいる。
人だ、間違い無い。
だが、先程までの状況はすっかり俺を恐怖に陥れていて、とても玄関まで行けない。
と言うより、腰が抜けたのか足に全く力が入らない。
窓ガラスの向こうに、数人の気配と懐中電灯の明かり。
窓を照らしたりもしている様だ。何を言っているのか判らないが、話し声も聞こえる。
暫くしてから、また玄関から物音がした。
「ガチャ!」
何故か鍵が開いた。
92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/17(土) 05:38:03.43 ID:3i0AcC2d0
何!何?今度は何!?
俺はもう頭を抱えて、うずくまる事しか出来なかった。
玄関が開いて、どやどやと数人が入ってくる音がする。
終わった。俺の人生終わったもう死ぬ。
頭の中でひたすら繰り返していた。他に何も思い浮かばなかった。
「○○さん?大丈夫?何があったの?」
入ってきた誰かが近づいて来て話しかけて来た。
恐る恐る頭を上げる。
警察官だった。
104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/17(土) 05:46:45.47 ID:3i0AcC2d0
ここから暫く記憶が判然としない。
救急車を呼ぶかと聞かれたと思うが、何とか大丈夫だと答えた筈だ。
何があったかと何度か質問されたが、よく判らないとしか答えられなかった。
多分ここでは話が出来ないと判断したのだろう。
俺は警官2人に支えられて立たされると、そのまま外へ連れ出された。
外に出ると、両隣の人達も様子を見に出てきていた様だった。
大家も居た。鍵は大家に開けて貰ったんだろう。
パトカーに乗せられて、暫くの間話が出来そうかと質問を受けていたが、放心したままだった。
外はもう明るかった。
そのまま警察署へと連れて行かれた。
119 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/17(土) 05:56:07.87 ID:3i0AcC2d0
警察署に着くと、人が沢山居た為か少し落ち着きを取り戻す事が出来た。
それでも時間は結構経過していたらしい。
どこかの部署の片隅の椅子を貸して貰って、そこでポツリポツリと話を始める事が出来た。
朝の出勤時間だからか、警察署のその部署も賑やかになっていくのが判った。
話の内容が内容だし、混乱もあって辻褄も全然合わなかったのだろう。
何度か最初から説明する事になり、結構な時間を警察署で過ごしていた。
話を聞いてくれたやや年配の警察官は、メモを取りながら何とか理解しようと努めているらしかった。
やがて一通り理解した(と思われる)後、警察が来た経緯を説明し始めた。
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