
869 :841つづき ◆O2uqqje66g :03/04/18 15:40
一緒に廃屋を彷徨ううちに、Aは俺の行動がおかしいことに気が付きました。
誰も居ない方向に向かって話しかけたり、誰かの後を追うように歩いたり。
そういうのが気持ち悪くて、Aは少し離れて俺の後ろを付いて回りました。
やがて、あの渡り廊下にさしかかったあたりで、喋り声が聞こえてきました。
Aはてっきり、俺が独り言をつぶやいているんだと思ったそうです。
『こいつ本当に大丈夫か?』
Aの恐怖心は、一気にふくれあがりました。
そして、俺が黒い部屋のドアを開いた時、Aはものすごい悪臭を嗅いだのです。
思わず口を押さえ、後ろを向こうとした時、低い男の声で「・・死んでまうのに」と言うのが聞こえました。
見ると、俺が虚ろな目をしてこっちを向いている。
真っ黒な部屋を背にした俺は、背景を黒く塗りつぶされているように見えました。
まるで、あの写真のように。
それで、Aは振り向いて逃げ出したのです。
俺と同じく、夢中で逃げるうちに、いつしか自分の家の前まで来ていたそうです。
Aはそれからしばらく、悪夢に悩まされました。
その後、学校で俺を見かけることはあっても、あの時のことを思うと、声を掛ける気にはならなかった。
だから今日までの俺は、Aの事を覚えてなかったんです。
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