
初めて泊まりに来た日、パンパンに膨らんだリュックを背負った彼女はまるで山登りの達人の様だった
その内泊まりに来る日も増えて、付き合い始めて一ヶ月過ぎたくらいの時に初夜。
腰から太ももにかけてはっきり残った傷があって、「瓦礫で怪我をした傷をちゃんと治療もしないでいたら残ってしまった」と説明された
改めて、とんでもない経験をしてきた人なんだなと思うと同時に、「これからはとことん幸せになってほしい。いや自分がしてあげないと」と強く思った
嫁「ごめんなさい、きたないですね」
俺「汚くなんてありませんよ、あなたが頑張って生きてきたしるしです。あなたはとっても綺麗ですよ」
嫁「……うん、ありがとうです。だいすき」
俺「俺もです」
この時の嫁さんの涙を流しながら笑った顔を俺は一生忘れないだろう
次の日、唇から首の根元につけられた大量のキスマークで首がかぶれたみたいになって、同僚にえらく心配された
その頃には、もう既に嫁さんは月の大半を俺の家で過ごしてたまにオーナーのマンションに帰って仕事をもらってくる……みたいなほとんど同棲生活サイクルになっていた
家に帰ると嫁さんが「おかえり」と出迎えてくれるのが心地よかった
「ごはんとおふろとわたしですね?」「え、全部?」みたいなお約束の変化球も覚えて、毎日の生活を楽しんでいるみたいで何よりだった
二人でいる時間が増えてから分かったことだけど、嫁さんはめちゃくちゃ甘えん坊だった
前にちょろっと書いたけど、まだ10歳位の時に国の内戦で両親を失った嫁さんはそれから20歳まで教会の孤児院、それからしばらく国内で働くも失業し日本に来て俺と出会った
人生の半分以上、家族のいない生活を送っていた訳だ
その反動なのか、家に二人でいる時はずっと俺にくっついて離れなかった……結果一人の時間はほぼゼロに
まぁ、元々大した趣味も無かった俺は特に気にすることも無かったし、俺も嫁と一緒にいる時間が好きだった
しかし、ここまで関係が進展した以上はそろそろ男としてけじめをつけなければ……つまり結婚だ
出会ってから二年を過ぎた俺は決意した
それには先ずプロポーズをしなければいけない……ならば場所は何処で?
指輪も用意しなければ……いや、待て。向こうの人のプロポーズはどうやるんだろう?
仕事の昼休みに頑張って情報収集した
訳を話すと塾の同僚達も手伝ってくれた
そんな中、一人の同僚が「やっぱり、プロポーズするとなると彼女さんのご両親に挨拶に行くんですよね?」と……
嫁さんの両親が亡くなってることは伏せてたんだけど……そうか!
俺の中でプロポーズの案がほぼ固まった瞬間だった
家に帰ってすぐに嫁さんに提案した
俺「サシャ!この冬、二人で旅行に行こう!」
嫁「ほ!?」
(サシャは二人の時だけ呼んでいる嫁の愛称。実名とはあんま関係ない)
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