466 :本当にあった怖い名無し:03/07/02 02:04
丁度2年くらい前のことです。旅行にいきたいので、バイトを探してた時の事です。
暑い日が続いてて、汗をかきながら求人をめくっては電話してました。
ところが、何故かどこもかしこも駄目、駄目駄目。
擦り切れた畳の上に大の字に寝転がり、適当に集めた求人雑誌を、ペラペラと悪態をつきながらめくってたんです。
不景気だな…節電の為、夜まで電気は落としています。
暗い部屋に、落ちそうで落ちない夕日が差し込んでいます。
窓枠に遮られた部分だけが、まるで暗い十字架のような影を畳に落としていました。
遠くで電車の音が響きます。
目をつむると、違う部屋から夕餉の香りがしてきます。
「カップラーメンあったな…」
私は体をだるそうに起こし、散らかった求人雑誌をかたずけました。
ふと、偶然開いたのでしょうか、ページがめくれていました。
467 :本当にあった怖い名無し:03/07/02 02:04
そこには某県(ふせておきます)の旅館が、バイトを募集しているものでした。
その場所は、まさに私が旅行に行ってみたいと思ってた所でした。
条件は夏の期間だけのもので、時給はあまり…というか全然高くありませんでしたが、
住みこみで食事つき、というところに強く惹かれました。
ずっとカップメンしか食べてません。まかない料理でも手作りのものが食べれて、しかも行きたかった場所。
私はすぐに電話しました。
『…はい。ありがとうございます!○○旅館です』
「あ、すみません。求人広告を見た者ですが、まだ募集してますでしょうか?」
『え、少々お待ち下さい。…………ザ…ザ…ザザ………い、……そう……だ…………』
受付は若そうな女性でした。
電話の向こう側で、低い声の男と(おそらくは宿の主人?)小声で会話をしていました。
私はドキドキしながら、なぜか正座なんかしちゃったりして待ってました。
やがて受話器をにぎる気配がしました。
『はい。お電話変わりました。えと…バイトですか?』
「はい。××求人でここのことを知りまして、是非お願いしたいのですが」
『あー…ありがとうございます。こちらこそお願いしたいです。いつからこれますか?』
「いつでも私は構いません」
『じゃ、明日からでもお願いします。すみません、お名前は?』
「神尾(仮名)です」
『神尾君ね。はやくいらっしゃい…』
次のページへ続く
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